― 成功のカギは「素材選び」にあり。
3Dプリンターで失敗しないための第一歩は、「どんなフィラメントを使うか」を理解することです。
同じプリンターでも、素材によって仕上がり・強度・使い心地がまったく変わります。
この記事では、主要な3Dプリンターフィラメントの特徴・用途・難易度を比較し、
初心者におすすめのブランドと購入のコツを紹介します。
フィラメントとは?
フィラメントとは、3Dプリンターで造形するための樹脂素材(糸状プラスチック)のこと。
プリンター内部で加熱され、溶けた状態でノズルから押し出されて層を重ね、立体物を作ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直径 | 一般的に 1.75mm(一部2.85mm) |
| 重量 | 1kgスプールが主流 |
| 保存方法 | 湿気に弱いため、乾燥剤と密閉保存が必須 |
フィラメントは「素材の種類」と「ブランドの品質」で仕上がりが決まります。
選び方と素材別の特徴
フィラメント選びのポイント3つ
- 使う場所で選ぶ
屋内インテリア→PLA、屋外や実用品→PETG・ABS。 - プリンターの環境を確認する
密閉式ならABS・ナイロンもOK。オープン型はPLAが安全。 - カラーや質感で選ぶ
艶あり・マット・シルク・カーボン調など、デザイン性もアップ。
素材別の特徴
| 素材 | 特徴 | 難易度 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| PLA(ポリ乳酸) | 扱いやすく、においが少ない。初心者向け。 | ★☆☆☆☆ | 試作、雑貨、フィギュア |
| PETG | 耐久性・柔軟性あり。割れにくく実用品向け。 | ★★☆☆☆ | 容器、治具、パーツ |
| ABS | 強度と耐熱性が高いが、反りやすい。 | ★★★☆☆ | 工業部品、車パーツ |
| TPU(ゴム系) | 柔らかく伸びる。特殊な用途向け。 | ★★★★☆ | バンパー、クッション材 |
| ナイロン(PA) | 高強度・高耐摩耗。湿気管理が重要。 | ★★★★★ | 機械部品、ギア類 |
① PLA(ポリ乳酸)|迷ったらこれ
- 長所:変形しにくく、失敗が少ない。甘いトウモロコシ臭で扱いやすい。
- 短所:熱に弱く(60℃前後で軟化)、屋外使用には不向き。
- おすすめ用途:模型、飾り、小物、教育教材。
初心者はまずPLAから始めるのが定番。
② PETG|強度と透明感を両立
- 長所:PLAより丈夫で、ABSより扱いやすい。
- 短所:糸引き(stringing)しやすい。
- おすすめ用途:ペン立て、容器、DIYパーツ。
実用品を作るならPETGがベストバランス。
③ ABS|プロ向けの高耐久素材
- 長所:高温・衝撃に強い。ヤスリがけ・塗装がしやすい。
- 短所:高温環境が必要(ベッド90℃以上)、反りやすい。
- おすすめ用途:工具、模型、機械部品。
密閉型プリンター(例:Bambu Lab P1S)なら安定して出力可能。
④ TPU|柔軟性のあるラバー素材
- 長所:ゴムのようにしなやかで耐久性抜群。
- 短所:ノズル詰まり・糸引きしやすく、難易度高め。
- おすすめ用途:スマホケース、クッションパーツ。
プリント速度を落とす(20〜30mm/s)と安定。
⑤ ナイロン(PA)|最強クラスの耐久素材
- 長所:強靭で摩耗しにくい。耐熱・耐衝撃性も抜群。
- 短所:吸湿性が非常に高く、乾燥管理が必須。
- おすすめ用途:ギア、機械部品、精密パーツ。
ドライボックス+密閉容器の併用がポイント。
初心者におすすめのブランド5選
| ブランド | 特徴 | 素材ラインナップ |
|---|---|---|
| Bambu Lab(バンブーラボ) | 高精度プリント用に最適化。AMS対応カートリッジ式も人気。 | PLA / PETG / ABS / TPU |
| eSUN(イーサン) | コスパ最強。初心者でも安定して印刷できる。 | PLA / PETG / ABS / TPU |
| Polymaker(ポリメーカー) | 高品質で均一な径精度。カラーバリエ豊富。 | PLA / PETG / PC / Nylon |
| Prusament(プルサメント) | 精度保証つき。Prusa純正スプール。 | PLA / PETG / ASA |
| SUNLU(サンル) | コスパと安定性のバランスがよく、Amazonでも人気。 | PLA / PETG / TPU |
Bambu Labユーザーなら、専用フィラメント+AMS連携でトラブル激減。
フィラメントの保管とメンテナンス
- フィラメントは湿気で劣化します。
- 使用後は必ず密閉容器+乾燥剤で保存。
- 湿気ると「パチパチ音」「表面ざらつき」「糸引き」が発生。
ドライボックスを使うと、安定出力&長期保存が可能です。
まとめ|素材の理解が「作品の完成度」を決める
3Dプリンターは「素材選び」で仕上がりが大きく変わります。
最初は失敗を恐れず、PLA → PETG → ABSとステップアップしていくのがコツ。
目的に合ったフィラメントを選び、
“つくる楽しさ”を存分に味わっていきましょう。

